メーカー不明リゾネーターギター【前編】
メーカー不明のリゾネーターギター。
ヘッド裏のキズ跡から1973年ブラジル製かと思われます。
現状では指板形状がクラシックギターと同じく分厚くフラット、フレットの消耗などでとても弾きづらい状態です。
とても思い入れのあるギターだとお伺いしました。なんとかこの雰囲気を保ったままストレス無く演奏できるように修正していきます。
グリル部分
◯塗装にあたってグリル部分を取り外す
◯ボディパン部分も同様にナイフを差し込んで剥がす
網目状のグリルは布製で、接着剤で貼り付けてあり鉄製の枠でカシメてありました。
塗装後のデザインに合わせてこの後アルミ製のグリルに取り替えます。
ナットの取り外し
◯ナイロン製ナット
◯非常に頑丈に固着していたので通常の方法では外れません
0フレット仕様なのでこのナットの役目は各弦のガイドのみとなります。
◯ジグにセット
◯固着したナットをルーターで切削
◯ナット中央部分を切削
◯木部に到達寸前まで切削
◯取り外し
ボディサイドの割れ修正
◯ボディサイド割れ部分の状態
◯マホガニー材をヒーターでショルダー部のRに合わせて曲げる
◯ターンバックルの両端にRに合わせたブロックをカットして取り付け
◯補強材の取り付けイメージ
◯接着面の生地調整
◯補強材をターンバックルで締めて圧着
サイド板が薄いうえに割れた状態が長かった様で変形していました。
リム部分との境目での割れやRのついたショルダー部分ということもあり、平面を出すのに苦労しましたがうまく修正できました。
◯補強材の接着完了
ショルダー部分のラウンド形状に沿ってうまく平面が出せました。
このあと塗装前に木地のヒビ割れた部分の修正をおこないます。
指板調整
◯指板面のストレートを計測
トラスロッドの無いギターです。
指板エンドから0フレットまで盛大に順反りが見られます。
今回は指板表面のR修正と指板の幅も修正していきます。
◯切削幅のイメージ
◯指板の厚みと幅から指板Rは20"Rが適当と判断
◯フレットを抜く
◯指板を切削
指板の厚みがある為、まずは反りかえった指板の両端を大胆に削っていきます。
◯指板Rを確認しながらさらに切削
◯指板R(20"R)が揃ったところでストレートを確認
◯ジョイント部分に隙間があります
◯印をつけて切削幅を確認しながらストレートゲージでさらに切削
◯ストレートを確認
10フレットに若干の隙間がありますが、ネックの強度を考慮して切削はこのくらいに留めておきます。
この部分の修正はフレットにて行います。