GreendaleMusic

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ESP柴田直人モデル【考察編】

トラスロッドがいっぱいに締まっているにもかかわらず、ネックが順反りになっているとのご相談でした。

1980年代の国産楽器に多い印象があります。

【考察編】は指板修正の考察と修理内容のご提案。

指板を剥がしての修正は塗装の厚みなどからリスクが高く、料金も高額になるため現実的ではないと考えます。

基本的なリペア内容は【フレット交換】と【指板修正】という作業ですが、この年代特有のたわみやすいネックが問題となります。

ネックの状態

◯ストレートゲージにて反りの状態を確認
・弦を取り除いてトラスロッドを緩めた状態
・ネック中央付近にストレートゲージと指板の間に隙間が確認できます

◯弦を張った状態(レギュラーチューニング)
・トラスロッドは同じく緩んだ状態
・ナット付近

・5フレット付近

・12フレット付近

・最終フレット付近

お客様より申告があった通り、順反りの状態としてはかなり極端な印象です。
また弦を取り除いた状態と較べて反りの振幅幅が一般的なものより大きい様です。

各測定値からの考察

◯ナットスロット(溝)の深さは【約2mm】

◯トラスロッドを締めた状態と比較して、反りの振幅幅は【最大約1mm】

◯指板エンド(ツバ出し部分)の厚みは【約4mm】

◯サイドポジションマークと指板表面の隙間は【約1mm強】

懸案事項

◯最大の振幅幅(反りの幅)約1mmを縮めるために両端(ナット付近・指板エンド)を削った場合

・切削幅が多い為、場所によってはサイドポジションマークまで到達するおそれがある
・ナットスロット(溝)が浅くなる
・ツバ出し部分を1mm以上切削する可能性があり(残量が3mm以下の可能性)強度が足りなくなる

対処方法

◯上記に対しての対処方法

・サイドポジションマークが残る範囲で切削する
・ナットスロットは新たに切削する
・ツバ出し部分の残量(厚み)を最大3mmにとどめる

上記と併せた対処方法

◯上記の対処方法のみでは反りが修正できませんので、さらに以下の修正を加えます

・フレットスロットの確認の為、1フレットのみ抜き取る

画像の通りフレットスロット(溝)の幅は【約0.5mm】。
ここにオーバーサイズのフレットタングを持つフレットを打つ事で指板修正します。

フレットによる修正


図解のように【厚みのあるタング】にて【フレット溝を押し広げ】【指板に逆反り方向のエネルギーを与える】ことによってさらに指板修正を行う。

またフレットのクラウン部分が高いサイズであれば切削幅を稼げる為、【フレットすり合わせ】作業を追加して修正ができると考えます↓

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