Teisco TE440
Teiscoの70年代製 TE440と思われるThinlineタイプ。
親子2世代で引き継がれているという事で非常に大切に扱われている印象です。
「弾く事が最良のメンテナンス」という事をよくお話しさせてもらいますが、その典型例でしょう。
ジャック等消耗パーツは一部交換されていますが、古い楽器ながら全く問題のない雰囲気です。
今回はこちらからのご提案でフレット・ナットの交換をさせていただきました。
フレット交換
◯この頃の特定の工場の製品は総じてフレットが低くなっています
◯指板ではなくフレット上でストレートを出す為の加工だと思われます
◯ほぼ台形に削られたフレットの頂点は消耗は遅く感じますが、ピッチとサステインの面では非常に不利です
◯フレットに乗った塗装を取り除く
◯ヒーターをあてながらフレットを抜く
塗装が厚くフレットがめり込んだ状態で高さも低いです。喰い切りの刃が届きづらく慎重な作業になりました。
◯塗装割れ・木部のチップも最小限に抜けました
フレット溝の修正
◯【フレット溝(1弦側)】◯【フレット溝(6弦側)】
フレット溝が1弦側に比べて6弦側が浅くなっている事がわかります。
画像デプスゲージにて深さを計測するとフレットのタング(T字状の縦の部分)の長さに足りません。
◯フレットソーで溝を切ります
◯1弦側の深さに合わせて約2mmで切ります
◯最終フレットの溝切り
◯【画像】元の溝より深く切れていることがわかります
◯ダメージのある溝の淵を接着剤で修正
◯接着剤を削る→研磨
ここまででフレッティング前の準備です。
元のフレットとの比較。
高さの違いがわかります。
◯指板R(7.25")を計測
◯フレットをプレス
◯余分なフレットの端をカット
◯フレットの端を斜めに削る
◯フレットすり合わせ
◯ゲージで高さの違うすり合わせ箇所をマーキング
◯サンディングブロック(7.25")で切削
◯フレットファイルで頂点を成型(クラウニング)
◯エッジファイルで面取り
◯ゴム砥石で研磨
◯研磨
◯フレット交換完了 実際には【すり合わせ→研磨】の工程は弦を取り付けて繰り返し行います。
ナット交換
◯接着剤を取り除く
◯牛骨(ブランク)を切削
◯クランプして取り付け
◯弦溝を切削
◯指板R(7.25")のゲージに合わせる
ブリッジ
◯ブリッジを分解
◯各部動作確認をしながらクリーニング
◯弦アースを確認して再組み込み
◯Rゲージを使って高さ調整
アッセンブリー
◯パーツを分解
◯各部動作確認をしながら再ハンダ
◯ハーネスをまとめながら再組み込み(画像なし)
完了
ご希望により弦高を低めでセットアップ。
気になるピッチも正確になり音の立ち上がり・コードもまとまり感が格段に良くなりました。
この先も弾き込んでいただけるかと思います。