Squier by Fender ST mini
スクワイヤーのミニチュアエレキギターです。
ピッチがおかしく弾きづらいとのご相談でした。
原因は他店でのナット交換で、以下交換作業の工程です。
コンディション
◯左用に加工してあったナットをそのまま反転させてありました
◯画像は6弦側
◯画像は1弦側
◯ナット自体が1弦側にずれて接着してある
◯当然1弦側は飛び出ている
もともと左用としてご使用だった様で、その左用に加工してあったナットを反転させて右用に流用してありました。
もちろん各弦の高さが合わないので1弦側を浮かせて高さを稼いでいた様です。
またこの状態では弦溝のカーブ頂点がヘッド側にきますのでピッチが合わないのも当然です。
ナットの取り外し
◯ナットを取り外すと浮いた1弦側に多量の接着剤を流しこんだ様子が確認できます◯専用のノミで不要な接着剤を取り除く
◯専用のヤスリで接着面を整える
ナットの取付
◯牛骨ナットブランクを接着
ナットの加工
◯両端を切削してサイズを合わせる
◯指板のR(10"R)を計測
◯計測した指板を参考に弦溝を切削
◯Rゲージで確認しながら各弦の高さを調整
◯完了
ピッチの修正
◯プラ板のシムでネックの仕込み角度を調整
◯Rゲージで確認しながらサドルの高さ・オクターブ調整
ハンダの修正
◯アウトジャックのナットが緩み回転していた様子
◯ホット側の被覆が断裂
◯ダメージにある部分をカット・再結線
その他の調整
◯フレットのクリーニング
完了
◯弦を取り付けて基本セットアップ【基本セットアップ内容】
・オクターブ調整
・ブリッジ高さ調整
・PU高さ調整
・トラスロッド調整
ミニチュアギターながら弾き心地が良くなりました。
弦長が短い為、弦のテンション(張り)が緩く、左手の押さえる力で音程が変化しやすい状態でした。
テンションを強くするためにネックの仕込み角度を変え、サドルの高さを稼ぐことでピッチの不安定さを修正できました。
レギュラーゲージの弦(10〜46)でもストレスなく弾いていただけるかと思います。
他店での不誠実なナット交換は論外ですが、このようにポイントをおさえて調整すれば安価な楽器でも見違えるような弾きごたえに生まれ変わる好例かと思います。