Ovationトップ板の割れ
ブリッジ下からボディエンドにかけて比較的大きいクラックがあります
またこのクラックに起因すると思われるブリッジの前傾と隆起がみられます
トップ板の変形(陥没)も関連して発生しているため弦高も高く調整できない状態
トラスロッドは締め切った状態で順反りで音質にも問題ありでした
ネックリセットとリフレットを含めて作業を進めていきます
トップ板の割れの状態
◯表面から確認できるクラックはそのまま裏面でも確認できる
◯ブレーシングの剥がれが無いことを確認
ネックの取り外し
◯トップ板のストレスをなくすためネックを取り外しておく
トップ板修正箇所の考察
◯トップ板(木部)とバック部(樹脂)の結合
◯補強材(ブレーシング)の増設
◯絆創膏状の補強板(クリート)の取り付け
目的と作用の違う上記3つの作業を進めていきます
トップ板(木部)とバック部(樹脂)の結合について
ブレーシングの取り外し
◯ヒーターをあてて接着剤を軟化させる
◯ナイフを差し入れてブレーシングを剥がしていく
◯取り外し完了
割れた箇所の状態
◯割れ部の隙間が大きい
湿度を加えて木部を膨張させる
◯ある程度隙間が埋まる
トップ板(木部)とバック部(樹脂)の結合について
◯上記に対しての結合方法
・接合部の剥がれた部位が接着剤に隠れて目視で確認できない
・接着剤の塗布による接着は断念
・ツメ状の木片でバック部(樹脂)を圧着させる
ツメ状の木片を作製
◯メイプル材を切り出す
◯接合部の形状に沿って段差を切削
◯レイアウトを確認
◯ボディRをトレース
◯Rを罫書いて切削
◯Rを微調整して完了
木片の接着
◯【0.3mm】の穴を貫通させておく
◯ウインチで木片を引き上げながら圧着
◯同時にバインディング下の割れも修正
◯ウインチを巻き上げながら割れ部分が平坦になっていることを確認
◯接着
◯接着完了
◯接着面が平坦になり段差がなくなっている