Martin OOO-1
サイド、バックがマホガニー材のMartin OOO-1。
1弦と6弦の弦高が高く弾きづらいというご相談でした。
状態について
◯ナット部分R【約16"R】を確認
◯弦の上辺【16"R】を確認
◯消耗により2弦のみ落ち込んだ状態
◯サドル部分【約20"R】を確認
◯最終フレットの弦高【約4.5mm】を確認
各数値からの考察と対策
・中央部【3弦・4弦】より両端【1弦・6弦】が高く感じる
・サドル部分R【20"R】がナット部分R【16"R】と合っていない
・上記からサドル部分Rを修正
・ナット溝は消耗しているためRと深さの微調整のみ
サドルのR修正
◯サンディングブロック【14"R】にておおまかに切削
◯1弦側の切削範囲が少ないため、6弦側に多く切削する様に調整する
◯サドルを取り外し全体的に切削
◯切削後【14"R】を確認
◯実際にセットして弦を張る
この作業を何度も慎重に行います。
演奏しながら弦高の様子をチェックします。
初回の【14"R】ではあまり変化を感じなかったため、実際は【12"R】へ変更しました。
◯オクターブを調整後、仕上げ
◯サドル修正完了
・サドル【12"R】
・6弦最終フレットの弦高【約3.5mm】
・元の状態より【約1mm】の下げ幅
ナット溝の修正
◯消耗した2弦の溝に合わせてその他の溝を調整
◯消耗したナット溝の状態
◯修正後のナット溝
音質も少し違和感がありました。
画像の様に弦との接点を【点状に短く】修正しました。
これにより分離の良いMartinらしい音質が復活したかと思います。
実際は演奏しながら各弦を個別のカーブにて切削します。
また今後この部分は消耗しますのでこの効果は一時的なものと考えます。
その他の調整
◯フレットのクリーニング
◯ボディのクリーニング
◯トラスロッド調整
完了
気になった1弦と6弦の弦高は、指板に合ったなめらかなRで音質を犠牲にする事なく弾きやすくなっていると思います。
本来はこれと併せてナットの交換をおすすめします。ご希望でしたらご相談ください。
音質はナット溝とサドルの各接点を修正したため、Martinらしい和音の分離と輪郭がよみがえりました。
弾むような響きを楽しんでいただければと思います。