Martin O-18
2018年製 Martin O-18。
小ぶりなボディサイズながらマホガニーらしいサステインと音質を感じます。
弾きやすさを重視して弦高をできるだけ低めにセッティングしたいとのご相談でした。
何事も限界がありますが、こちらのギターはサドル・ナット溝・トラスロッドとすべて調整幅が十分あります。
やり直しができませんので、ビリつきや音質を考慮しながらの慎重な作業になります。
ナット調整
◯元のR(20"R)を計測
◯指板のR(16"R)を計測
◯各溝を切削
◯目的の16"Rまで切削
弦の上部での計測なので実際フレットと接触する弦の下部は17"R程度(よりRが大きい)になります。
感覚的にRの差があると弾きやすいと感じる方が多い様です。
弦と指板のRをナット溝で調整する事がローフレットでの弾きやすさに大きく関わると考えます。
何度もチューニングして演奏しながらのとても慎重な調整です。
◯高さ調整の後はヘッド側のカーブの切削
こちらも音質に大きく関わる部分
弦の接地面が大きいと太く、小さいとシャープに、といった感じかと思います。
こちらも何度も演奏しながら各弦ごとに切削。
セオリー通りにならない事が多いので時間をかける作業のひとつです。
サドル調整
◯元の状態
◯現行のMartinはこんな感じなのでしょうか。オクターブ用に頂点が切削してあります
◯元のR(16"R)を計測
◯通常は底面のストレートを切削して高さ調整をしますがR調整とオクターブ調整をしますので上面をRブロックで切削
◯こちらもセオリーがありますが何度か演奏しながら試した結果、14"Rに
◯ナット頂点の切削面にオクターブを罫書く
◯オクターブを成型
◯研磨
フレットすり合わせ
◯すり合わせ箇所をマーキング
◯サンディングブロック(16"R)で切削
◯フレットファイルで頂点を成型(クラウニング)
◯研磨
完了
スモールボディの影響なのか、低い弦高にもかかわらず音量・音圧ともに作業前と比べて失った感じがしません。
弾きやすく気軽に手に取りたくなる様なギターになりました。