国内製テレキャスター
典型的な材料にて製造された国産テレキャスター。
ステージでの使用頻度も高い様でメンテナンスをするタイミングも無く長期間弾かれていたとの事でした。
特にフレットの消耗が激しくフレット交換中心のご依頼でしたが、ご相談を進める中でプレイヤーならではの積極的なカスタマイズ案もご提案がありました。
今回はそちらも併せてのリペア内容です。
フレットの状態
歴戦の跡が伺えます。
この状態でもビリつきなどの症状がありませんが、音の立ち上がりや音程の違和感、和音を弾いたときのアンバランスな響きなど、この楽器を初めて弾いたものにとっては一聴して分かります。
フレット交換をすることで慣れ親しんだ音質が変化することを敬遠される方が多いですが、音質の差異を少なくすることも出来ますしそれ以上にアドバンテージを得ることが大きいと考えます。
フレットはビリつきの症状が無くても消耗した場合は交換されることをおすすめします。
指板Rを計測
◯元の指板R【7.25"R】を確認
フレットの取り外し
コンパウンドラジアスにて指板調整
◯最終フレットで近辺で【10"R】にて切削
◯7フレット〜14フレットで【9.5"R】
◯ナット近辺で【7.25"R】にて切削
サンディングブロックでおおまかに各Rにて指板を切削します。
画像にはありませんが、このあとストレートブロックにて指板上のコンパウンドラジアスを仕上げます。
指板上の各Rを確認
フレットスロットのクリーニング
◯専用のノコギリで接着剤を取り除いて整地する
溝の深さを確認
指板表面を仕上げる
◯サンドペーパーの番手を上げて指板表面を仕上げる
フレットの取り付け
◯フレットの加工をしたのちにプレス
◯不要な部分をカット
◯専用のヤスリにてフレットの端を斜めに切削
フレットのすり合わせ
◯すり合わせ箇所をマーキング
◯すり合わせ
フレットの成型
◯専用のヤスリで平らになったフレットの頂点を丸く成型
◯フレットエンドを専用のヤスリで成型
◯ゴム砥石で研磨
◯フレットの表面を研磨して完了
ナットの取り付け
◯ナット溝の接着剤を取り除く
◯牛骨のナット材を取り付け
◯弦の溝をRゲージにて確認しながら切削
◯ナットの表面を研磨して完了
アッセンブリーについて
現行のレイアウト
◯レイアウトの変更
・パネルを反転させてボリュームノブとセレクタースイッチの位置を変更
・音質面から配線材とコンデンサーを変更
配線材
◯レイアウトの変更
・パネルを反転させてボリュームノブとセレクタースイッチの位置を変更
・音質面から配線材とコンデンサーを変更
配線の変更
◯PU配線をWE製から変更
◯出力線とその他配線材もWE製から変更
コンデンサーの変更
◯各種コンデンサーをテストして選択
通常、このように豊富な在庫(画像は一部)から試奏していただきながらセレクトしていきます。
コンデンサには個体差があるためひとつひとつ根気強く精査していただいております。
今回は納期の都合上、こちらで選択させていただく事となりました。
使用アンプや弾き方などを想定して数時間を費やしての作業となります。
◯アッセンブリーとレイアウトの変更完了
完了
直接の弾き心地に関わる変更点が多いことが懸案事項でした。
その点を注意深く配慮しながら違和感無く仕上げられたかと思います。
今後ステージで活躍してくれることを願います。