Aria 型式不明 フルアコタイプ
「何かおかしい」との事でご相談いただきました。
専門的な知識や用語は必要ありません。不見識だと気後れすることもありません
率直に感じたことをお伝えいただければこちらでご提案しながらお手伝いさせてもらいます。
フレット交換
◯打音チェックをしたところフレット浮きが多数
◯頻繁に使用するフレットのみが激しく摩耗していました
◯ヒーターをあてながらフレットを抜く
◯Rゲージにて元の指板Rを計測
◯指板の収縮がひどかったため修正
◯フレット溝修正
◯指板Rはローフレット→ハイフレットにRがなだらかになるコンパウンドラディアスを採用
◯フレットを打ち込む
◯画像はありませんがこの後余分な部分をカット→フレットの成型→研磨
ナット交換
◯ナットを取り外す
◯紙のシムが入っていました
◯もちろん取り除きます
◯人工象牙のブランクからナットを成型
◯トレモロアーム式のため溝は高めに残す
ブリッジ
◯木製のブリッジ土台部分をトップ板のカーブに合わせて切削
◯すきま無く接地しています
◯お悩みの方も多いはずですがこのタイプのブリッジはズレ防止でこちらの加工をします
◯トップ板にピンを立てる
◯ブリッジ両端部にピンを2本立てました
◯ブリッジ土台側にピン穴を切削
◯弦の交換や演奏中にブリッジがずれることはありません
◯接着剤より実用的でおすすめしています
◯サドルの弦溝が消耗していました
◯特に2弦と3弦が落ち込んでいて適切なRになっていません
◯分解してみるとすべてのサドルが消耗しています
◯この溝が深すぎると振動を妨げて音詰まりの原因になります
◯フライス盤で消耗部を切削
◯適切な弦溝を稼ぎます
◯適切なRになります
アッセンブリー
◯順序は逆ですが配線にも問題があった様で切替時など適切な音が出ていませんでした
◯分解します
◯短絡が起こらないはずがないほど混沌としています
◯不完全なハンダも含めてすべて取り除きます
◯アッセンブリーを仮設ボード上で組み込む
◯ケーブルの長さが適切になりワイアが突っ張る事による短絡防止にもなります
◯フルアコ・セミアコは指定がなければノイズの観点から網線(ブレイデッドワイア)を多く使用します
完了
不安定だったチューニングも安定しました。
オクターブの精度も良くなり心地よい響きになり安心してこれからのステージで活躍してくれればと思います。